家計を圧迫する通信費、20年で1.5倍に。携帯料金は高すぎる

この9月に誕生した菅新政権。発足に合わせて、「新型コロナウイルスへの対応」や「デジタル庁の創設」など様々な政策に取り組んでいくことが示されました。そのうちの一つに掲げられている「携帯電話料金の引き下げ」は、日々の暮らしやマネーの観点からも気になる政策ではないでしょうか。

今やすっかり私たちの生活に浸透した携帯電話。
2008年のiPhone登場以降、スマートフォンが主流になると、さらに機能性が高まり、できることがどんどん増えていきました。

博報堂生活総合研究所が2019年に15~69歳の男女1万人を対象に実施した「消費1万人調査」では、「平成に登場した商品・サービス、起こった出来事のうち、自分の買い物や消費に大きな影響を与えたものは?」という質問をしています。

「消費増税」「東日本大震災」「100円ショップ」など約40項目が並ぶなか、トップに選ばれたのは「携帯電話・スマートフォン」(46.3%)でした。

すきま時間に指先一つでササっと買い物を済ませる現在の生活スタイルは、平成初期には到底考えられなかったこと。携帯電話の登場が生活に与えたインパクトの大きさは計り知れないものがあります。

また2017年の調査になりますが、博報堂生活総合研究所が小学4年生~中学2年生の男女に対して実施した「子ども調査」では、「自分専用のスマートフォンを持っている」と回答した子どもは、小学生で21.7%、中学生では61.6%にのぼりました。
現在ではさらに数値が上昇している可能性も高く、全世代的なスマートフォンの広がりを感じさせます。

便利さが増し、多くの生活者に浸透してきた携帯電話・スマートフォン。
ですがそのぶん、家計に与える影響もじわじわと大きくなっています。

総務省「家計調査」では、毎月の家計の支出金額をみることができます。そ
なかで、携帯電話料金は「通信費」という項目に含まれています。通信費の細目には、携帯電話料金以外に固定電話の料金や郵便の費用なども含まれていますが、携帯電話料金の金額が突出しており、通信費全体の8割強と大部分を占めています。

細目の金額は遡って確認できる期間に限りがあるため、今回は便宜的に通信費について過去からの推移をみてみます。

2019年の毎月の通信費は、2人以上世帯では平均13,591円。2019年の毎月の消費支出をみると平均293,379円なので、消費支出全体に対する通信費の割合は4.6%となります。この消費支出に対する通信費の割合について、改めて2000年からの推移をみてみると、

2000年3.0%(消費支出317,328円、通信費9,521円)
2019年4.6%(消費支出293,379円、通信費13,591円)

グラフでも、年を追うごとにパーセンテージがじわじわと高まっていることが確認できます。上述のように、子どもたちも含め、家族それぞれがスマートフォンを利用する昨今。近年は「格安スマホ」が登場するなどの動きはあるものの、20年前と比べると、消費支出に対する通信費の割合は増加傾向にある=家計全体を徐々に圧迫しているといえそうです。

コロナ禍による経済の冷え込みが懸念される昨今。もしもこの先、家計の所得が減少すれば、家計に占める通信費の割合がさらに高まり、そのぶん他の商品・サービスの消費にお金が回りにくくなる……という状況も考えられます。

新政権発足とともに、にわかに注目を集める携帯電話料金。今後の消費動向を考える上でも、どのような帰結を迎えるのか注意してみていきたいところです。